雪割草の性質と育て方

性質

一部の種を除いて常緑の葉を持つ多年草で、花弁状に見える部分は植物学的にはがく片です。また、がくに見える部分は茎葉です。栽培上の性質は種によって異なりますが、幸いなことに変異が多く見出されているオオミスミソウが一番強い性質をもっています。交配によい更に性質が強くなり、育てやすくなります。

育て方

培養土と作業の適期
根腐れの予防のため、水はけの良い用土として、硬質鹿沼土5、軽石砂5などの配合土を使用します。植え替えや植付けの適期は晩夏から初秋、もしくは花後で新しい葉が出揃ってからです。
水はけを配慮して深め4〜5号程度の山野草鉢(焼締め鉢)が良くできます。
栽培環境
蕾が膨らみ始める頃から開花中は日の良くあたる場所に置きます。日陰では花茎が間延びして、見苦しくなります。その後は雨を避け日陰に置きます。
水やり
芽の活動が始まる2月ごろから開花期間中は多めに与えます。その後は鉢の表土の乾き具合を見て与える時はたっぷりと施します。
肥料
植え付け後に春は緩効性化成肥料を、秋は有機性の固形肥料を鉢の周囲に置肥します。植え替えない鉢は同様に花後と秋に同じ肥料を置肥します。また、花後から初夏まで2000倍程度の液肥を水やりがわり与えれば葉の成長に効果的です。
病虫害
花時に花が咲かず葉が出ることがあり ますが、これはサビ病で、完治は難しいようですが、胞子葉を取り除いて、トリアジメホン剤を散布します。また、根に小さなコブができるネマトーダが着くこ とがありますが、その部分を手でちぎって取り除き植え付けます。余り残った根が少なくなった場合は根の乾燥防止のため、ミズゴケの長いものを根の根茎部分 に巻きつけて植えます。その後鉢の周囲にオキサミル粒剤などを施します。開花中にナメクジが花を食害することがあり、注意して捕殺や殺ナメ剤をまきます。 また、木搾液の薄めたものを月に2〜3回散布すれば病害虫葉の予防と共に葉の色艶が良くなるようです。
ふやし方
植え替え時の株分け、太い根茎の根伏 せができますが、実生による方法が確実で新しい花の出現に期待が持てます。実生はタネを採取後取り蒔きすれば、翌年の早春に発芽し、次年の春に本葉を展 開、更に1〜2年後には開花します。交配は開花中に花どうしを合わせる方法や、暖かい日中にピンセットなどで交配してやれば確実です。特に二段咲きや唐子 咲きなどで雌しべや雄しべが出る花を大切に交配親として使用すればその花の持つ遺伝子により八重咲きなども出現します。厳密には交配した子供同士の再交配 により良い花の出る確率が上がるようです。タネは花後に葉陰で花茎を延ばして、コンペイトウのような実(タネ)をつけます。茶色に変色し始めれば採取でき ます。タネは乾燥が過ぎると発芽がしにくくなりますので、採集後日陰で少し乾燥させてから早めにまきます。用土は親株と同様で、まいた後はタネが隠れる程 度の覆土をします。タネまきから3〜4年後の早春が待ちに待った開花です。なお、薬品処理や春化処理などで、開花促進が可能で、様々な方策が試行されてい ます。
露地栽培のポイント
庭の下草としても最適で、落葉樹の下など半日陰に水はけ良く植えますと、環境が合えばタネが飛散して自然に増殖します。

雪割草の花後の管理について

皆さんの雪割草は綺麗に咲いたでしょうか?。早春の草花の中でも、花の形や花の色に変異があることで、雪割草はますます人気が出てきているようです。さてこの雪割草ですが、花の後の手入れをちゃんとしてやらないと、来年の花が思ったように咲かないと言うことになりかねません。このページでは、年間の管理についてわかり易く書いていく予定ですが、今回は花の咲いた後の管理について触れたいと思います。

花柄と古い葉は切取ってやります

花を楽しんでいると、早く咲いた花は先に花びらが散ってしまいます。種を採ろうとするのであれば切り取ることは出来ませんが、そうでない時は花柄の根元から切り取ってください。それも出来たら花びらが散らないうちに切り取ります。花びらが散って用土の上に落ちたままにしておくと、カビが生えてきて新しく伸びてきた葉にもカビが移って枯れてしまいます。
また、花が終わると株元から新しい葉が伸びてきます。この時に花柄を切り取ったように古い葉(昨年の葉)もすべて切り取ってやり、株もとがよく日に当たるようにしてやります。

肥料と消毒

花が終わったら、綺麗な花を咲かせてくれたお礼に肥料を与えます。いろんな肥料が市販されていますが、良質な有機性のものや、液肥などでいいと思いますがやり過ぎには注意したいものです。
また消毒ですが、害虫はあまり心配しなくてもいいと思いますが、葉や根を枯らす病気には鉢で栽培する時には気をつけたいものです。いづれも病気が発生してからでは手遅れですので、梅雨に入る前から殺菌剤の散布をおこないます。薬剤もいつも同じものを使わず、3種類くらいのちがった薬剤を交互に散布してやります。薬剤のうすめ方は、説明書をよく読んで規定量より濃いものは散布しないようにしてください。
また花が終わりになる頃は、気温もかなり高くなります。散布する時間ですが、朝か夕方の涼しくなってから行うようにします。

植え替えと用土・鉢

植え替えは秋といわれていますが、花後新葉が固まった梅雨の頃に行うのも、植痛みが少なく秋に行うより来年の花がいいという人もいます。
買い求めた雪割草の株がポット植だったり、株が多く根が混んでいるようだったら植え替えてやりたいものです。
鉢は雪割草専用の通気性が良く、鉢底の穴が大きなのが理想的ですが、求めにくかったり高価だったりとすべてをこのような鉢に植えることも難しいと思います。安い駄温鉢でも深めのものであれば充分栽培は可能です。またプラ鉢でも腰高のものであれば充分栽培は出来ます。
用土ですが、鹿沼土を主体に栽培場が乾燥しやすい場所であれば赤玉土を混入したり、軽石系の土を混ぜたりして自分の作場のくせを早く見つけて、教科書どおりではなく自分なりの用土を見極めたいものです。

栽培や交配については、当協会の副会長・岩淵さんの最新刊、新潟日報事業社発行の「雪割草」を参考にしていただきたいと思います。